デジタルツインで製造インフラ導入を事前検証― 立ち上げ期間を半減し、調整工数削減を実現 ―
自動車製造ライン向けのマテリ アルハンドリング設備を手がける中西金属工業株式会社様では、製造インフラの高度化・複雑化に伴い、設計・検討から立ち上げまでに多くの時間と工数を要していました。
同社はTecnomatix Plant Simulationを導入し、製造インフラのデジタルツインを構築。仮想空間での事前検証により、調整工程の短縮と関係者間の共通理解を促進し、プロジェクト全体の効率化を実現しています。
導入前の課題
- EC化に伴う物流市場のFA機器需要増加を背景に、無人化・省力化への対応が求められていた
- コンベヤ速度やAGV台数など多数の要素が複雑に絡み、最適構成の検討に時間を要していた
- 実機設置後でなければ検証できず、試運転フェーズが長期化するケースがあった
導入検討のポイント
- 製造・搬送プロセスを仮想空間上で再現し、事前に挙動やボトルネックを確認できる点
- レイアウトや各種条件を変更しながら、複数の検討パターンを比較・検証できる柔軟性
- シミュレーション結果を関係者間で共有し、検討内容の認識を揃えやすい点
導入効果
- 設計検討・調整フェーズにおける検討期間を大幅に短縮(当初1カ月 → 約2週間)
- 設備構成や搬送条件を事前に検証することで、手戻りの抑制に寄与
- 関係者間での共通理解が進み、プロジェクト全体の進行が円滑化
導入前の課題|マテハン機器設計における検討工数の増大
輸送機事業部では自動車生産ライン向けのマテリアルハンドリング機器を主力としていますが、EC化に伴う物流市場のFA機器の需要増加を背景に、工場の無人化・省力化に対応した機器の開発・提案にも取り組んでいます。
自動車生産ラインでは、顧客が求めるタクトタイムに対応するためにタイムチャートを作成し、全長数キロにおよぶコンベヤや、数千枚のパレットを搬送する各種機器を提供しています。
しかし、コンベア速度、AGVの台数や走行速度、無人フォークリフトの能力、バッファ容量など、数多くの要素が複雑に関係しており、最適な構成を導き出すには、物件ごとに異なる条件を考慮する必要がありました。そのため、設計検討には早くても1カ月以上を要するケースが一般的でした。
さらに、現場での試運転は、物流装置や制御装置を実際に設置し、テスト用プログラムを稼働させてからでなければ実施できず、場合によっては半年以上に及ぶこともありました。
導入の決め手|仮想空間で全体を把握できるシミュレーション環境
Plant Simulation導入以前は、作業手順の各ステップで求められる生産タクトタイムをもとに検討を行っていましたが、実際のプロジェクトでは、機械・電気・組込・システム設計者が同時に関与するため、仮想シミュレーションを行うこと自体が容易ではありませんでした。
また、レイアウト制約による機器サイズの変更や、実際の機器動作とタイムチャートとの不一致などが発生し、余裕を持った計画を立てていても検討に長期間を要していました。
こうした課題に対し、高精度で緻密な表現が可能なPlant Simulationを活用することで、製造インフラ全体を包括的に把握できるデジタルツインを構築できる点が、導入の決め手となりました。
活用内容|製造・搬送プロセスを再現するデジタルツインの構築!!!!
Plant Simulationでは、6〜8工程にわたる製造・搬送プロセスの シミュレーションを実施しました。各機器のレイアウト変更や 搬送速度、サイクル、ワークの供給タイミング、AGVの必要台数、 交差点での干渉や渋滞回避、充電サイクルの最適化など、 現実の条件を正確に再現しています。
多くの要素を変更しながら複数のパターンを容易に検証できるため、 条件変更が生じた場合でも迅速にシミュレーションへ反映し、 最適解を関係者間で共有できるようになりました。
導入効果|可視化による共通理解と調整期間の短縮
Plant Simulationによる仮想シミュレーションを活用することで、関係者全員が一カ所に集まり、可視化されたプロジェクトを共通認識のもとで理解しながら進められるようになりました。
その結果、プロジェクト全体の進行が加速し、調整フェーズでは当初1カ月を目標としていた期間を、約2週間程度まで短縮することができました。
導入後間もないため現場での本格的な試運転はこれからですが、早期段階での円滑なコミュニケーションにより、全体の工数削減につながることが期待されています。
今後の展開|提案力向上と現場工数削減を見据えて
今後は、お客様への提案やプレゼンテーションにおいて、視覚的に分かりやすいシミュレーションモデルを活用することで、従来の図面や資料では伝えきれなかった空間構成や動線、設備全体のイメージを直感的に共有していく予定です。
また、打合せ中にパラメータを即座に変更し、複数のパターンを比較・提示できる点を活かし、見積精度とスピードの向上を目指しています。
さらに、シミュレーションに加えてインターフェースパッケージを活用した外部機器との連携や制御ロジックの事前検証を行うことで、現場におけるデバッグ作業の大幅な削減にも取り組んでいく方針です
会社概要|中西金属工業株式会社
中西金属工業株式会社様は、30年以上にわたり、極めて高度なものづくりプロセスが求められる自動車製造ラインの開発・製造を手がけてきました。
蓄積されたノウハウを強みに、国内外の製造現場における重要なインフラであるコンベアやAGV、デバンニングロボット、無人フォークリフトなどの周辺機器から、自動保管庫に至るまで、フルターンキー体制でサポートしている企業です。